メモをとるという行動が自然にできる
土橋:今まで色々なメモツールを使ってきましたが、ジェットエースから通算30冊目。
これは書くときのイラつきやストレスがないから、こんなに続いているんだと思います。
色々な文房具を試す仕事をしている中で、1つだけのものをこんなに長く使うというのが非常に珍しいかもしれません。
こだわりをお持ちですから、使われるのは厳選されたアイテムのみなのかと思っていました。
土橋:やはり、その時のベストを探していて、変わっていきますが、ノートはこれ(月光荘)、今日数えたら49冊目でした。このスケッチブックもやはりいいです。
「すぐログ」とこのスケッチブックが今は定番です。とにかくイラつきがない。
イラツキがあると動作がぎこちなくなったり、思考が止まったり、ノイズと言ってもいいと思います。
なにかやろうと思ったときに歯止めになるものがあると、それが原因で忘れたり、面倒くさくなったりするけれど、それがないと続けられる。この「イラツキをなくす」というのも先ほどの「知的生産の技術」で学んだことです。
その「イラツキのなさ」がジェットエース含め、この「すぐログ」にはある。
「すぐログ」はダイゴーの「ジェットエース」という商品から派生してますが、鉛筆と一体化していて、すぐ取り出せるという要素が、一番大切な部分だったということですね。
土橋:すぐ書くということを重要視している私には、それがすごく重要でした。
ペンと紙・ノートが一緒になっているアイテムは本当に選択肢がないんですよ。
ずっと気に入って使っていただいているということですが、今回監修をして頂いたというのは、やはり変えたいところがあったということですね(笑)
リニューアルのポイントを教えてください。
土橋:全部ではありませんが、これらは今まで使用したものです。
思い出の品もあります。
ジェットエースをずっと使っていたましたが、やっぱり、こう、あんまり・・・見た目が(笑)
かっこいいなと正直思えなかった。
機能はすごくいいと思ったけれど、手触りも、今ひとつという感じだったので、一時期は革を貼っていたこともあります。
これを見せて頂いたので、サンプルを作らせて頂いたことがありましたね。
土橋:5~6年前にダイゴーさんにお会いしたときに、当時も当然使っていたので、ジェットエースのデザインと触り心地がちょっとね・・・というお話をして、もっと高いもの作りましょうよ!と提案しました。
ロゴはいらないといわれたのでPVCの柔らかい素材とPU(ポリウレタン)の素材でサンプルを作ってお渡しししました。いつも使って頂いているので、一度作って使ってみていただこうと。
土橋:1ヵ月くらいしていきなり箱が届いて、そしたらいきなりサンプルが出てきて、あ、なんかいいぞいいぞと思って。
すごく特別なもの作って頂いちゃって。
2013年だから4年位前ですね。
やっぱりよかったんですよ、今までの通常のジェットエースを使うよりも、
PUの方がしっくりくるしいいなぁと。でもその時には商品化には至らなくて。
その頃にシーズンゲームさんと意気投合して、先にレザーバージョンの「IDEA piece」が先に商品化されました。
今回、「すぐログ」は色展開をしました。
ジェットエースの良さを私は一個人としてすごく感じています。それが世の中に伝わっていないということも感じていました。なぜこの良さが皆わかんないのかと。
多分、それはこの外観のせいが大きいと思いました。
幅広いユーザー層に手にしてもらいたかったので、カラーバリエーションを変えたんです。
私自身もそういう明るいものを使ってみたかったので。素材もPUにしました。
あとはドット罫になった点が新しいポイントですね。
使い始めた当初から、罫線に収めて書くということはほとんどしていませんでした。
この小ささで罫線内に文字をおさめるのは難しいですよね。
この罫線をはみ出していると悪いことをしているような印象を受けてしまうので、
「いや、はみ出して全然いいんだよ。」という風に感じられる罫線にしたかったんです。それがドット。
そういうと無地のほうがいいとなりますが、リストを書くこともあると思うので、ある程度のガイドはあった方がいいと思い、このフォーマットにしました。
ドット罫というのは、すごくフレキシビリティがある、色々な書き方ができるんです。
小さいけれどすごく見開き性がいいから、思ったよりタップリ書けますし。
先日、ある展示会でダイゴーの女性のスタッフさんから、「実は今日から『すぐログ』を使っています、すごくいいですね。」と言ってくれました。
展示会で受注を受けるときには色々な頼まれごとがあるそうです。
これまでどうしていたのか聞いたら、これまではスマホに打っていたと(笑)
手帳メーカーにあるまじき発言だけれど、でも、「それを『すぐログ』で書くようにしたら、すごく便利でしたって、すぐに良さがわかってくれた。
それを聞いてすごく嬉しかったですね。
実際に使ってみれば、便利さがすぐにわかります。
1週間とは言わず、3日ポケットにいれて生活をしてみて欲しいですね。
今以降をよくするためにメモする
土橋:ちょっとメモしたいってシーンは1日1度は絶対あると思うんです
書くことで忘れなかったり、大切な情報を見たり聞いただけでスルーするんじゃなくて、しっかりとインプットしていく。そうするとプライベートでも仕事でも次の行動がより良くなってくると思います。
アイデア以外ではどんなことで使われていますか?
土橋:プライベートで言えば、飲んでいる時に色々な話をして、例えばおすすめのレストランを聞いた時など。書いておくとしっかりと残っていて、家族と一緒に行くという行動につなげられます。
面白い商品があるよということも、書いておくと、次の別人になった自分にちゃんといい情報を引き継いだ形にできる。
もちろん仕事でも同じです。
これがいいのは、書いていることが対面している相手にあまり大げさにならない。
書く動作は大げさではないから、相手に気を使わせずにさっと書けます。
また、よくあるのが電車の席に座ってひたすら何か考え事をするとき。大きいサイズのメモだと、隣からのぞかれるのでちょっとやりづらい。
「すぐログ」は小さくて見られないので落ち着いて自分の世界で書けます。
よく雑誌社さんから仕事の依頼がメールで届きます。
例えば、おすすめのペンを8個選んでくださいとか依頼されたときに、「じゃあ、この電車の30分間で考えよう」と、書き出すことが「すぐログ」ならできます。
それができると、着実に翌日の仕事が30分なり1時間短縮できます。
ちいさな密閉空間がつくれるんですね。
土橋:あと、映画館で気になるフレーズがあった時に、真っ暗なんだけど、とりあえず取り出して書くこともあります。
後で見返すと、一応文字になっています。
なんと!使い慣れるとブラインドタッチができるようになるんですね。 他にはどんなことを書かれているのでしょうか。
土橋:使うときにこだわっているのは1ページ1テーマにしていて、余白が残っても全然気にしません。そろそろ自転車のギアの修理しないといけないなってことが書いてあったり(笑)あと、ホームセンターにいったらシャンプーやハンドソープを買うとか…。
あと紙質がいいので、万年筆の試し書きをすることもあります。
これ万年筆好きには響くかもしれない。試し書きは同じ紙でやったほうが違いがわかります。それをいつも「すぐログ」でやります。この紙は万年筆と相性がいいです。
あと海外に持っていくとすごく便利ですよ。
ホテルのフロントでおすすめのお店を聞いたときに「すぐログ」に書いてもらう。タクシーに乗って、それを見せて伝えたり。言葉だけではうまくコミュニケーションが取れないときの筆談にも便利です。
また、便利だなと思うのは、大病院とか、すごく広い駐車場に車を入れた時に、どこに入れたかわからなくなる。近くに柱番号がありますよね、その柱番号を必ずメモするようにしています。
本当に些細なことなんですが、買い物に行っている間や、病院にお見舞いに行っている間中、「B23」などと覚えておきたくないですよね。
それを、ここに一旦いれておく。そういう使い方もしますね。
ちょっとしたことだけど、便利だなと思います。
私は大体2ヶ月くらいで「すぐログ」一冊を使い切ります。この消耗が早いと仕事がやっぱり進んでいるという印象がありますね。
あまり使っていないと仕事も進んでいない。
ノートもそうじゃないですか?ノートがどんどん使われてページが減っているときは仕事がすごく進んでいる。はかどっているか、1つのバロメーターみたいな感じ。
愛用品されているモノへのこだわりはありますか?
土橋:これはさっきも言いましたが。イラつきがないこと。そのことに集中できる使い心地であることです。
「すぐログ」で言えば、ページがすぐ開け、鉛筆がすぐ取り出せ、開きが良くてすぐ気持ちよくかけるということですね。
このスケッチブックも49冊使っていて、なぜ良いのか考えたら、例えば1つとしてリングが白いんです。大体リングは黒か銀色が多いですが、白なので紙面に同化してくれるんです。 同化してくれると気にならない。そういう細かな無意識のうちにやっていることで使い心地のよさや、イラつきのなさというものを自然と選んでいるような気がします。
アイデアをよくひらめく時ってありますか?
土橋:私の場合、そのための行動に頭を使っていない時にひらめくんです。例えば、犬の散歩・お風呂、あと電車。例えば犬の散歩をしている時は同じルートを通るんです。
次にこっちへ行こうとか、それこそ右足を前に出そうとか、そういうことを考えずに普通にいけますよね。これらの共通点は、自分の体を動かすためには脳みそを使っていないということなんです。そうした時に、それまでインプットしてきたものがふっと浮かぶ。
頭がからっぽというか、じっとして頭をからっぽにするっていうのではだめで、適度に体を動かしているけれど、その体を動かすために脳みそを使っていない状態がいい。
脳みそを使っていない時に水面下に漂っているアイデアが融合してひらめくというか、そういう関係性を感じますね。
そういう時は机に向かっていないので「すぐログ」に書くことが多いです。

土橋 正(つちはし ただし)
ステーショナリー ディレクター、文具コンサルタント。
文具の展示会「ISOT」の事務局を経て、土橋正事務所を設立。
文具の商品企画やPRのコンサルティング、文具売り場のディレクションを行っている。
文具ウェブマガジン「pen-info」では、文具コラムをはじめ、海外の文具展示会レポートなど様々な情報を発信している。
http://www.pen-info.jp/
新聞、雑誌などの文具特集にも多数参画。
日本経済新聞社 新製品評価委員。
オールアバウトのステーショナリーガイド。
http://allabout.co.jp/gm/gt/1654/
- 著書
- 「仕事文具」東洋経済新報社
「モノが少ないと快適に働ける」東洋経済新報社
「文具上手」東京書籍
「文具の流儀 ロングセラーとなりえた哲学」東京書籍
「仕事にすぐ効く 魔法の文房具」東京書籍
「やっぱり欲しい文房具」技術評論社 - 共著
- 「ステーショナリー ハック!」マガジンハウス
絵本「文房具のやすみじかん」 福音館書店
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ひらめいたアイデア、やるべきTo Doなど、主にキーワードを書き込みます。
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