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「すぐログ」監修者 土橋 正のアイデア発想術

土橋 正氏かねてより、えんぴつ付きのミニ手帳「ジェットエース」の愛用者であったステーショナリーディレクターの土橋さん。
「ジェットエース」の機能性はそのままに、表紙の質感・カラー・紙面をアップデートした「すぐログ」を企画・監修していただきました。
えんぴつ付きのミニ手帳は何が便利なのか?
今回、土橋さんにアイデアの育て方とノート・メモの活用方法についてお話をお伺いしました。

モノが少ないと快適に働ける

土橋さんは「モノが少ないと快適に働ける」という本を書かれていますが、実践されている仕事が捗る日々の習慣を教えて頂けますか?

土橋:まず、机を見て頂ければわかりますが、徹底的にモノを少なくしています。

本当ですね。どうしてそれほどまでに少なくしているんですか?

土橋氏机

土橋:その時取り組んでいる仕事に必要のないものは机の上にはのせないようにしています。モノを少なくしているのは、ズバリ集中力を高めるためです。
人は見ようと思っていなくても目に入ってきたものを脳は処理していると、私は考えています。

脳に余計なことをさせたくない

土橋:脳に余計なことをさせないために必要のないものを視界に置かないということが1つ。 もう1つは、何かをとろうとしたときに10本あるうちのひとつをとるよりも2~3本しかない中から選ぶ方がすぐとれます。モノや書類へのアクセスが断然速くなる。 探すことや選ぶことなど、脳に余計なことをさせてしまうと、仕事のながれを一旦止めることになる。それもすごくムダ。 余計なことをしたくないし、集中力を高めるためにモノを少なくしています。

何もモノがなくなると、発想もできなくなってしまいそうですが、モノが少ない中でどうやってアイデアはどう降りてくるのでしょうか?

土橋:いや、何もないほうが発想できるんですよ。
発想しようとしているときは自分の中にあるものだけで出すようにしていて、情報収集などのインプットする作業はその日以前に「すぐログ」やノートに書いておきます。それをみて考えます。
会議室の何もない机の上、何も貼っていない壁、ノイズも全くない状況のほうが、企画を考えたりする時ってはかどりませんか?机の上に山の様な書類があったり、誰かに声をかけられる所よりも、何もない所の方がはかどります。自分と向きあえることで自分の中にあるものを出し易くすることなのかなと思うんです。インプットの時には色々な刺激をうけていいと思いますが、いざ考えようという時にはそういう環境に身をおきます。

では、事務所でされることは発想するというより、準備しているものをまとめあげていくような組み立て作業のようなものなのでしょうか?

土橋:両方あります。インプットをすることもあるし、アウトプットとしての原稿を書くこともあるし、アイデアを発想するということも。
色々な工程のことを自宅でも、事務所でもやります。

仕事でなかなかアイデアが浮かばないという方がおられます。アイデアがどんどん浮かんで、活用できれば、土橋さんのようなクリエイティブな活動ができると思うのですが。

土橋:私はそんなにクリエイティブではないですよ(笑)
何か考えないといけないことができたらノートや、「すぐログ」に、最初にテーマだけ書いてしまいます。例えば「文具コーナーアイデア」と書いて、枠組みだけ作っておく。

文具コーナーアイデア

自分への質問みたいなものを先に書いて、とりあえずしまって一旦忘れます。
そうすると、あたまの片隅には「文具コーナー」のことを考えようということが残っていて、なにか思いついたら書いていく。
こういうスペースを作っておくと埋めようとするんです。歩いていたり、テレビを見ていたりしていても、何かの情報を見つけようとします。テーマを書いて、空白を作っておくと、ここに何か入れこむんだなというモードになる。その枠組みを最初に用意してあげることをしますね。
そうすることで普段の生活の中で関係あるものがひっかかりやすくなってくる。

引っかかってきたときに、その後はどうされるのですか?

土橋:考えるためだけの時間を設けること。例えば今日の10時から11時までという風に。これが結構重要だと思っていて、何かを考えるための時間をしっかり用意してあげる。

考えるための時間を持つ

土橋:以前はどちらかというと電車に乗っている時など、スキマの時間に考えていました。今思えば、考えることを軽視していたなと思います。
とても大切なことなのに、何かのついでにやっていた訳ですから。
そもそも考えることに限らず、全ての仕事は、それを行うための時間、枠組みがないと絶対できないんです。まずその仕事をするための時間を確保しなければいけない。
それは「企画を考える」という大変な仕事も、「経費清算をする」という優先順位の低いものでも、必ずそのための時間を用意しないとできないんですよ。

時間を用意した後はどうされるのでしょう?

土橋:基本的には紙とペンだけで、真っ白な紙に向かい、頭に浮かんだアイデアや、そのかけらみたいなものもどんどん書いていきます。 そこで完成させようとは思っていないので、書き溜めたものや、考えたものをどんどん出していきます。 書くときに文字の場合もあるけれど、こんなイメージかなとか絵や図を描くこともあるんです。

不確かなことも書いていく

土橋:デジタルだと全ての情報が文字化されてしまいます。
この段階では文字にもなっていないような、すごくあやふやな状態のものもあるので、それを頭の中でひらめいて出す時には、自由にできる紙とペンのほうがいい。
私が普段使っているのは、月光荘のスケッチブック、基本は横位置に使っています。横位置の方が発想を広げやすい。
縦のノートでも横位置に使いますね。

デジタルだと文字化されるときに枠組みにはめこんでしまうので、アイデア段階では枠のないアナログの中でどんどん広げるという作業になるんですね。

土橋:そう、曖昧なことをキーボードに打つと、確定されたものに変換されてしまって、モニターに出てきたものと少し前に考えたものは、なにかすこし違うものになってしまう。
紙とペンだと曖昧なものは曖昧なままで納得して次に進めていける。
私の「考える」は、こんな流れです。

「考える」流れ

まず「考える」、それを「書く」、書いたものを「見る」、そして「刺激をうける」、そしてまた考える。この4つをぐるぐる回していく感じ。刺激をうけて、「それだったらこっちのほうが可能性があるな」と、また違う風に考えていく。
よく、講演でお話しているんですけれど、人は時間と共にどんどん他人になっていくという考え方があります。「知的生産の技術」という本を知っていますか?

次の瞬間の自分に伝えていく

知的生産の技術

土橋:この本の中に「自分というものは時間とともにたちまち他人になってしまう」と書いてあります。
よく、物忘れをするでしょう? それも他人になるから。
原稿のチェックを夜中にしていて校了し入稿して、翌朝会社で見たら値段を間違えていたりする。 昨日の自分では見つけられなかったけれど、翌朝の自分は見つけられるというのは、何が違うかというと別人になっている。
これは、いい面もあって、いいアイデアが浮かぶのも別人になっているから。

この前提で考えると、何かアイデアを書きました、それを見ましたという、ものの3秒のことでも、もう、変わっていると思います。 書いた時の自分と、見た自分は別人、それで刺激をうけて、また更に考える、どんどん他人になっていく自分に伝えていく感じです。その作業を書きながらやります。

「すぐログ」は最初のアイデアの段階で使われるということですね?

ひらめきを確実に受けとめられるように

土橋:いえ、「すぐログ」は今の流れの中で、適宜使っています。
例えば考える時間を設け、一旦1時間で考えます。それで完成ではなくて、書いたということが自分の中に残ります。
普段別の仕事や生活をしていても、この企画に合うなというアイデアが浮かぶ時がありますが、机の前にいない時は「すぐログ」に書くということを日々繰り返します。
机の上で考えることは本当に初歩の段階で、そこで完成ではなくて、そこから肉付けすることは、他の何もしていない時間にふと思いつくことの方が多いです。
アイデアを考えようと思って考えられるのであれば苦労はしないのですが、考えようとしていない時にひらめくということが今までの経験の中であるので、その為の体勢をとっています。

外でのひらめきは「すぐログ」を活用されているということですね。
他人になっていく自分に、アイデアを渡しながら、だんだんアイデアが確定されていく。
そう聞くと、浮かんだアイデアも着地できそうですね。

明日の自分に完成度を高めてもらう

土橋:これを日をまたいで6~7回くらいやると、ある程度の完成度はあがってきます。
私はアイデアもそうだし、原稿も完成までに8工程くらいに分けていて、ひとつひとつの工程を別の日にわけて行っています。
「明日の自分に完成度を高めてもらう」ことで少しづつ完成度をたかめていくと、ある程度のレベルになります。

意識して別の自分にバトンタッチをして、どんどんどんどん完成度を高める、と。

土橋:そう、今日の中途半端な出来は、明日の自分に完成度をあげてもらおうと思っています。
そう思えるようになると、すごく仕事が楽になりました。
昔は1日で仕事を仕上げようと思っていた時期がありました。それは原稿でしたが、すごくつらかったですね。1日では完成度はあがらないんです。時間ばっかりかかって。

ちょっと話がずれるかもしれませんが。
私は連載の仕事があると、必ず工程表を作ります。

工程表とはどんなものでしょう?見せて頂けますか?

pen-infoでの工程

土橋:これは私のpen-infoでの工程です。1本の記事で8~10工程くらい。「テキスト」、「入力」、「撮影」、「テキストと画像を合体」、「推敲」×3回、「編集後記」、「メーカー確認」…。
この1工程、1マスを1日ずつ行います。だから最低でも8日~2週間弱かかります。
でも所要時間は1本あたり3時間から、多くて5時間くらい。
1日でやっていた時は、1日最低8時間、残業したら10時間くらいあるけれど完成しませんでした。日を分けて行うと半分の時間で完成するようになりました。
多分、企画を考えることも同じだと思います。「今日は情報収集だけ30分」、「今日は過去の事例だけを集めよう」とか。「集めたものを見て、今日はとにかくなにか考えてみよう」、で、翌日「もう一度考えてみよう」ということをやっていくとだんだん完成度があがっていきます。
それを締め切りの前になって慌てても完成度はあがりません(笑)。
その分、着手を早くするというのはすごく重要。依頼されたら翌日からはじめます。

ということは考える作業は分割されていて、段階と日にちを分けてアイデアを完成させるということですね。

土橋:私は一日の中で、極力色々な仕事を織り交ぜるようにしています。
1日企画だけを考える日にしようというのも昔やっていましたが、非効率でした。
今日も朝一番は調べ物、そのあと撮影をして、依頼されているイベントの骨子を考えて・・・午前だけで3つ位の仕事をしています。
午後はリストを作ったり、ウェブの修正をしたり、今はインタビューを受けています。
色々な仕事をしていくのがいいですね。1つの仕事にかける時間はMAX1時間。それ以上やると限界。
ちょうどね、子供の小学校の時間割みたいなものです(笑)
国語、算数、理科、社会みたいな。

集中力の限界を考えられているんですね。

土橋:そうそう。そうなんです。でも、毎日40分か50分なんだけど1冊の教科書が1年で終わっていますみたいなね。そのパワーってあると思うんですよね。
今日はもう算数だけやりますっていうと、もうやる気もなくなるし。
色んな教科、色んな仕事を織り交ぜるようにしています。

そうですね。1日算数はちょっとキビシイかもしれません(笑)
土橋さんにとってのアイデアとメモの関係をもう少しお伺いしてよろしいですか?

土橋:私のアイデアのつかみ方は、すぐ書く!
閃いたと同時に書ける体勢にしておく。アイデアを書くまでの手間ができるだけ少ないものがいいというのが今は経験値としてわかっています。
以前、メモとボールペンの2つを持っていた時は、2つのものを出すのに、ふた手間かかっていた。どちらかを忘れてしまったら、もうそこでアウト。
1つにまとまっている「すぐログ」に、1つの作業で取り出せて、ポケットに入れて持って行くだけなのでとても楽です。

土橋正氏監修 すぐログ 鉛筆付き 商品一覧

IDEA ポケットサイズ 90×60mm (2017年2月発売)

ひらめいたアイデア、やるべきTo Doなど、主にキーワードを書き込みます。

オンラインショップ限定カラー IDEA ポケットサイズ 90×60mm (2017年7月発売)

ダイゴーオンラインショップだけで入手できる限定カラーのIDEA。通常品よりも落ち着いた色味です。

PLAN 手のひらサイズ 115×70mm (2018年2月発売)

ToDoなどのリストアップ、表を作ったり色々なプランを立てるのに最適。

THINK たくさん書けるサイズ 133×87mm (2018年2月発売)

図やイラストを描く、文章をしっかりと書いていくなど、じっくりと考えられる。
取材手帳としても最適。

鉛筆・鉛筆削り

交換用の鉛筆、鉛筆削りをご用意しています。

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